古き良き新しい印刷技法 魅力的な活版印刷(レタープレス)

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再注目されている活版印刷

どことなく懐かしさを感じ、どこか素朴で温かみのある「活版印刷(レタープレス)」は独特の凹凸のある手触りや刷りムラ、かすれなど、1枚1枚に味がある個性は活版印刷ならではです。現代ではPCや高性能なプリンターから手軽に家庭でもプリントができる時代になり、絶滅傾向にあった活版印刷ですが最近では印刷する時に出来る独自の凹凸・手触り感がデザイナーやクリエイターから支持を集め、クラフトワーカーやDIYユーザーに至るまでこだわりを持った人たちにより人気が出てきています。名刺や招待状、商品のタグ、ウェディングのペーパーアイテム(結婚式の招待状)などシーンで活用すれば、受け取った方もいつも以上に嬉しくなりそう。そんな活版印刷の魅力をご紹介します。

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活版印刷とは?

活版印刷の原理は「活字」と呼ばれる鉛で出来た文字を一つずつ型に組み合わせ、版にインキを塗り、ハンコの様に凸面にインキをのせて刷る印刷技術です。これは「凸版印刷」と呼ばれる印刷原理を利用したもので、凸版印刷技術のうち、文字や図柄などが刻印された「活字」を組み合わせて行うことを「活字版印刷技術」と呼び分け、これが省略されて「活版印刷」と呼ばれるようになりました。
活版印刷の行程は文字や数字〜アルファベット、記号が刻印された金属製の活字をひとつずつピックアップし紙面にあわせた「版」を組み、そして組み上げた版を印刷機にセットし、版にインキをつけ、圧を加えて紙に印刷を行います。この際に版につけるインキの量や印圧を調整することで、活版印刷ならではのあの微妙な印刷表現のニュアンスを表現することが可能になるのです。
なお、活版印刷を行うためにはひらがな・かたかな・アルファベット・記号類のほか数千もの漢字の活字が必要で、さらに文字ごとにさまざまなサイズの活字が必要とされます。このため、活版印刷を行う印刷会社では数万という単位の膨大な活字が必要とされます。
また、これらの活字を正確に組み合わせてすばやく文選を行うためには専門的な能力が要求され、原稿を見ながら活字をピックアップする「文選工」、文選工がピックアップしてきた活字を並べて版にする「植字工」といったスペシャリストがこの作業を担当します。
1960年代には活版印刷は、「文選」「植字」を必要としないオフセット印刷の台頭により、次第に職人が減り現在では「文選」「植字」をできる人が70歳代で、後継者がほとんど居てないのが現状です。

 

design_letterpress_print01design_letterpress_print02出典 https://thebeautyofletterpress.com/

活版印刷の魅力

活版印刷には多くの魅力がありますが、その代名詞といえるのが”凹凸(デコボコ)”です。版の凸部を紙にあて、圧力をかける原理から印刷された紙には自然なへこみが生じます。このわずかな凹凸が印刷物に自然な風合いをもたらし繊細さとプレスされた力強さを与えることにより、現在の主流であるオフセットによる印刷物とは異なったニュアンスが表現できます。またインキの盛りが均質でない場合や版に少しでも歪みや高低差があるとインキの濃い部分と薄い部分が生じ、またインキのつきが少なすぎる場合はカスレが生じることもあり、場合によってはわずかな「にじみ」や「ズレ」、「カスレ」が生じる原因となりますが、一枚一枚の風合いが異なり、そこはまるで手触り感のような温かみが生じ、スペシャルに惹きつけられる何かがあるのでしょう。